食べることは 生きること! 親子で“農”を 楽しもう
食育のひとつとして、“農”にまつわる体験に関心がある方は多いのではないでしょうか。
貸農園で野菜を育てたり、農家の方々と一緒に田植えをしたりするほか、農村や里山に移住して、その土地ならではの暮らしをしたりと、“農”への親しみかたにはさまざまなスタイルがあります。その中から今回は、親子で“農”を楽しむ5つのスタイルを紹介します。
五感で“農”に親しむことは、地球環境や持続可能な社会など、世界的な問題について学ぶことにもつながります。そして、“農”と“食べること”、“食べること”と“生きること”は切っても切れない関係です。ライフスタイルにあったかたちで“農”を一緒に楽しむことは、家族の絆を深めると同時に“生きること”についての気づきとなってくれるかもしれません。
スタイル01>>> 貸農園
区画を割り当てられた利用者が野菜や花を栽培できる農園で、自治体が運営する市民農園のほか、民間企業が運営するものがあります。都市住民が家庭菜園として利用したり、食育や情操教育の観点から未就学児や小中学生の体験学習の場となったり、企業の福利厚生として利用されることもあります。
CHECK>>> アグリス成城
小田急電鉄成城学園前駅西口から徒歩1分にある会員制貸農園。総面積約5000㎡の敷地には、約300区画の菜園とラウンジやシャワー室などを完備するクラブハウス、フラワーショップがあります。アクセスがいいのはもちろん、農具はすべてレンタルでき、種苗や栽培資材(別料金)も揃っているため、手ぶらで菜園に通うことができます。栽培に詳しいスタッフが常駐しているため、初心者でも安心。会員対象のさまざまなイベント収穫祭のほか、ラウンジでのカルチャースクール、農業体験など一般向けのイベントも開催しています。
もっと知りたい!
「アグリス成城」スタッフ
川村和江さん にお話を聞きました。
成城学園前駅西口からクラブハウスが見えるほど“エキチカ”で、なにも持たずに農体験ができるのはアグリス成城ならではの魅力です。入会金はなく、月額利用料のみで、約3㎡~7.5㎡の区画を利用していただけます。
土は軽量土に牛ふん堆肥などを混ぜ込んだオリジナルの人工土壌。毎年1月末にはすべての作物を掘り上げて更地にし、2月の間、休園して土を休ませるなど、土づくりに力を入れています。
種苗は、病害虫が発生しづらく、人工土壌に適したものを中心に、年間約200種類を用意していますので、その中から好きなものをご購入、栽培していただくことになります。一番人気のミニトマトだけで10種類近くをご用意しています。
アグリス成城は、線路を地下に移設したことで生まれた敷地を利用しているため、周囲が開けていて風通しがよく、日当たりがいいのも特徴です。そして、農薬は有機JAS認定内のもののみ使用しています。そんな好環境で育つ野菜は安心安全、しかもりっぱに生長します。たとえば、毎年1月に開催している人気イベント「大根引っこ抜き」では、菜園から大根を抜いて合計重量を競うのですが、1本で5kgを超えることもあるほどです。
アグリス成城では、忙しい会員様に代わってスタッフが区画を管理する「栽培代行サービス」(有料)も用意していますが、基本的には週1~2回、来園していただくのが望ましいです。貸菜園はレジャーとして楽しいだけでなく、暑い時期の水やりや草とりなど、大変なこともあります。でもだからこそ、食の重要性に気づけるのだとも思います。
コロナ禍を経て、自分たちで食べ物をつくることへの関心が高まったように感じています。食べ物が簡単に手に入る現代の都市生活の中では、自給自足は単純ですが最先端な暮らし方だと思っています。“農”を身近に感じられる状態は、生活に潤いももたらしてくれます。つくって食べる、つまり生きるに直結するレジャーとして、親子でぜひ貸菜園での農体験を楽しんでいただきたいと思います。
写真提供:アグリス成城
スタイル02>>> 農体験・イベント
各地で農にまつわるさまざまな体験・イベントが開催されています。農園での収穫など農作業体験や、農業や地産地消、食育にまつわるワークショップや展示会、フェアなどが人気です。農体験・イベントを通して農にふれ、生産者とも交流しながら、農について学びます。
CHECK>>> 農いく!
都市住民と東京の農家を結ぶ親子向け農体験イベント。国立市、国分寺市、立川市、日野市、三鷹市など都内の農家の畑を訪れ、トマト、ブルーベリー、さつまいも、とうもろこし、枝豆など旬の野菜や果実の収穫を親子で体験できる「1day体験」を中心に、野菜の栽培から収穫までを親子で学ぶ「自産自消体験」や、農家との交流イベントも開催しています。
スタイル03>>> 山村留学
都市部の子どもたち(主に小・中学生)が親元を離れ、または親と一緒に長期間にわたって農山漁村地域で生活をしながら、自然体験や地域住民との交流を通して生きる力を育みます。留学先によって、地域の農家にホームステイしたり、宿泊施設で共同生活をしたり、家族で移住したりと、さまざまな居住スタイルがあります。
CHECK>>> 信州自然留学
山村留学発祥の地・長野県では、通常一年以上、農山村地域の共同宿泊施設や農家などで暮らしながら自然体験や生活体験をする取り組みを「信州自然留学」と名付けて推進しています。「子どもだけで留学」と「親子で留学」があり、「親子で留学」の場合は、公営住宅などを住まいとし、子どもは地元の学校に通いながら、豊かな自然の中で暮らします。
>https://sansonryugaku.nagano.jp
スタイル04>>> 米作り体験
春の田植えにはじまり、秋の稲刈りや脱穀、精米など、米づくりの一連の作業を体験できるプログラムやワークショップを用意している自治体や農家があります。また、会費を払って、一定区画の田んぼのオーナーになれる制度を用意しているところもあります。田んぼによって内容は異なりますが、オーナーになると、米づくり作業体験のほか、その田んぼで収穫した米や地元の特産品を自宅に届けてもらえるなど、さまざまな特典があります。
CHECK>>> 棚田NAVI
山の斜面や谷間の傾斜地に築かれた階段状の棚田は、米づくりの場としてはもちろん、歴史的・文化的背景や景観の美しさでも知られています。中にはオーナー制度を実施している棚田もあります。NPO法人棚田ネットワークによる棚田検索サイト「棚田NAVI」では、棚田オーナー制度について紹介されており、制度を実施している棚田を探すこともできます。
スタイル05>>> 農泊・体験型宿泊施設
農泊は、農山漁村に宿泊しながら、滞在中に郷土料理や伝統的な生活体験などを楽しみながら、地域の人々との交流を深める農山漁村滞在型旅行のこと。宿泊先には農家民宿や古民家、廃校を活用した施設など、さまざまなタイプがあります。また、農泊以外の宿泊施設でも、従来の宿泊特化型ではなく、農漁業や伝統文化、里山の暮らしなどをテーマにした体験コンテンツやアクティビティを提供する体験型宿泊施設もあります。
CHECK>>> Co-Sato(こさと)
0~12歳の子どもがいる子育て家族のみを対象とする会員制の体験型宿泊施設で、都市部に暮らしながらも、季節ごとに通える“行きつけの田舎”のあるライフスタイルを提案。長野県の豊かな自然の中、複数の子育て家族と学生スタッフが一緒に宿泊しながら、畑作業や山菜採り、森遊び、川遊び、動物とのふれあいなどを楽しみます。合鴨農法での米づくりにも、近所の農家と一緒に取り組んでいます。